もくじ

基本的な回路の動作説明

油空圧機器はポンプ(コンプレッサー)圧力制御弁、方向切換弁、流量調整弁、アクチュエータがあれば制御できます。

以下に基本的な回路を説明します。なお、回路図記号やボタンはマウスを合わせると説明が表示されます。アクチュエータの動作はボタンを長押しでソレノイドONになります。

解説
  1. 主電源ONで電動機が廻りポンプが始動することにより圧力が上昇します。
  2. リリーフ弁の設定圧力に達すると弁が開放され圧力を維持します。
  3. 前進・後退ボタンを押すと電磁弁が切換わり流体が流れてシリンダーが動きます。
  4. ボタンを離すとバネの力で電磁弁が中立位置に戻りシリンダーが停止します。
  5. シリンダーが動いている時は管内圧力が下がります。
電磁切換弁

上図の電磁切換弁のように前進・後退・停止の制御が出来る弁は3ポジション弁と呼びます。 またプレッシャ(P)/A/B/タンク(T)の4つの経路(ポート)がある弁なので4ポート3ポジション弁とも呼びます。

上の回路図の通りシリンダーが動いている時は圧力のエネルギーが流量のエネルギーに変換されるため配管圧力が下がります。もしもシリンダーの速度が出ていない時は絞り弁を絞りすぎているか、または圧力が不足していることになります。

上の回路のようにシリンダーが停止している時に主電源が入っていると圧力・流量を最大でタンクに戻すためエネルギー効率がよくありません。また流体の温度が上昇しやすいため停止時間が多い場合は不利です。次項では対策としてアンロード回路を説明します。

アンロード回路(無負荷運転)の動作説明

アンロード回路とはアクチュエータが作動していない時に流体を無負荷で流し動力の損失を押さえる回路で空気圧では利用しませんが、液圧では一般的な回路です。

回路構成はほば基本的な回路図と同じですが、電磁切換弁の切り換えポジションが違います。

中立位置でポンプの全流量をタンクに返すため圧力の上昇がありません。流体の温度上昇や動力の無駄が少なくなります。

解説
  1. 主電源ONで電動機が廻りポンプが始動しますが圧力は上昇しません。
  2. 無負荷運転(アンロード)なので無駄な動力の損失が少なくなります。

この回路は効率が良くなりますがメイン配管が無負荷になるため並列で切換弁を追加し複数のシリンダーを制御することが出来ません。 この場合は新たに電磁弁を追加しアンロード(圧抜き)させます。


固定容量式のポンプを使用し、かつシリンダーの停止時間が長い場合はこのようにアンロードさせることが重要になります。

ただし、可変容量式ポンプを利用する場合、もしくはインバータ制御の場合。リリーフ弁・アンロード回路は基本的に不要になります。

シーケンス回路(順次運転操作)の動作説明

シーケンス回路とは複数のアクチュエータを順次作動させるために利用する回路です。

下図の例ではクランプシリンダーを先に作動させクランプの圧力が上昇し、確実にクランプされた事が確認されてはじめて メインのシリンダーが作動するような回路構成を採っています。なお戻り側はどちらから作動しても問題ないのでシーケンスさせていません。

解説
  1. 主電源ONで電動機が廻りポンプが始動します.この時シリンダーは原位置につきます。
  2. 下降ボタンonでクランプシリンダーが動きはじめクランプされ圧力が上昇するとシーケンス弁が開きます。
  3. その後メインシリンダーが下降をはじめ製品を加工します。
  4. ボタンを離すと切換弁がバネで原位置に戻り流体を切換えシリンダーが元に戻ります。

この回路のように中間停止が必要ない場合は電磁弁は上図のように下降・上昇のみの2ポジション弁を利用します。 また、下降を両手押しボタンにすればはさまれる危険がない為非常停止を省くこともできます。

この回路ではリリーフ弁やアンロード弁はついていませんが可変容量式のポンプを利用すれば不要です。


この回路ではクランプ圧を確認しメインシリンダーを作動させていますが、異物の挟み込みなどの心配がある場合はリミットスイッチなどを利用し 圧力ではなくクランプの位置を直接確認し電磁弁で各シリンダーを制御する方法が有効です。

速度制御回路の動作説明

速度制御回路はアクチュエータの速度を文字通り制御します。またチェック弁付きの絞り弁については次項にて補足します。

2速制御回路

下図の例は切削送りなどによく利用される2速制御回路です。切削は加工が遅いため切削工程はアクチュエータの速度を遅くしますが 切削前の段階は早送りさせ加工時間を短縮させるための回路構成を採っています。なお戻り側は早戻しさせています。

解説
  1. 主電源ONで電動機が廻りポンプが始動し、前進ボタンを押すとシリンダーが前進をはじめリミットスイッチが入ります。
  2. この信号で速度調整用の電磁弁が作動し早送り用の配管を遮断します。
  3. それにより低速用絞り弁を流体が通りはじめ、シリンダーが減速し切削送りされます。
  4. 後退側は速度調整用の電磁弁のバルブの位置に関係なく高速で動作します。

この回路は電磁弁を利用し速度を制御していますが複合流量調整弁で制御する方法も多く使われています。

またこの回路のようにアクチュエータの出口側を絞り、背圧をかける回路をメーターアウトと呼び、下図のようなアクチュエータの入り口側を絞る場合はメーターインと呼びます。

メーターイン/メーターアウト

下図をご覧下さい。メーターイン回路を極端な例で説明します。

解説
  1. メーターイン回路はアクチュエータ出口側に背圧が立たないため負荷が掛からず慣性や重力によりスピードの調整が困難な場合があります。
  2. 上図では下降側でシリンダーが重力により落下しています。
  3. 上昇側は逆に重力により力のバランスが均衡するため精度が高く背圧が掛からないため効率が上がります。
  4. ただし、上昇側でも慣性が働く場合(急減速)は制御が難しくなります。

メーターインは正の負荷があると制御が困難なので、ほとんどの場面ではメーターアウトを推奨します。 違いはチェック弁の向きだけなので交換の際は特に注意が必要です。


例えるならばメーターインはアクセルのみでスピードコントロール。メーターアウトはアクセル全開としブレーキのみでコントロールと考えてください。

下り坂で車速をコントロールするにはどちらが最適でしょうか?また上り坂ではどちらが最適ですか?

差動回路(2速制御)の動作説明

差動回路とはアクチュエータの両端に流体を送り込みシリンダーの面積差によりロッド側の流体が押し出されポンプ最大流量 と合算しアクチュエータを高速に前進させる回路です。

ただし、このときの推力はロッド側にも同じ圧力が発生するためシリンダーロッド径と同じ推力に制限されます。 全体のストロークは長いが本来の加圧ストロークは短い場合少ない流量で早送りが出来るため広く利用されています。

解説
  1. 主電源ONで電動機が廻りポンプが始動し、前進ボタンを押すとソレノイドAおよびCが入り差動回路としてシリンダーが高速前進します。
  2. リミットスイッチonで次はソレノイドA/Cがoff。ソレノイドBが入り通常回路へと切り換り高い推力で加圧します。
  3. 後退側はソレノイドA入って通常速度で原位置に戻ります。

この回路は応用範囲が広く、なおかつ小さいポンプで早送りが出来るため効率の高い回路で主に液圧プレス等に利用されています。注意点は差動回路用切換弁とシリンダーまでの配管は通常より大流量で流れますので配管径やバルブサイズの選定には配慮が必要です。また耐久性のあるシリンダーパッキンを利用する必要があります。

落下防止回路の動作説明

落下防止回路はアクチュエータが自重による落下を防ぐ目的の回路で安全の為にも大変重要な回路です。

また多くの場合パイロットチェック弁を使用し弁内部の漏れを最小限に防ぐこともよく利用されています。 これを使用しないと長時間のロックが出来ず休日開けに自重で落下していた。などもありうる話です。

解説
  1. 主電源ONで電動機が廻りポンプが始動し、下降ボタンを押すとBポートの圧力が上昇しパイロットチェック/カウンターバランス弁が開きます。
  2. その後シリンダーは背圧を受けながら下降を開始します。
  3. 上昇側はフリーフローで流れメーターアウトにてスピードを制限され上昇します。
  4. また、電磁切換弁が中立位置になるとA/Bポートの圧力が抜けパイロットチェック弁がシールされ流体の圧縮でシリンダーの自重落下を防ぎます。

落下防止回路をつけていても落下する場合の多くはパイロットチェックの損傷やごみつまり。またはシリンダーパッキンの劣化が考えられます。また完全に落下を防止をするには流体の圧縮に頼る落下防止回路だけではなく機械的なロックの検討も必要です。

メンテナンスなどでシリンダー出口側の配管(ポンプOFFでもオレンジになっている部分)をはずすと一気に落下しますので特に注意してください。

非常停止の設計

非常停止は回路設計や保守点検作業において特に重要な項目です。常に安全側に働くような回路設計やメンテナンスをお願いします。

通常、機械は非常停止時に全ての電源が落ちアクチュエータを瞬時に停止させる場合が多いのですが、使用個所によっては圧力を保持させたい場合もありますので あわせて説明していきます。また下図に関して今までの説明用回路図とは違い実際の装置並の反応速度で非常停止を再現します。 また、仮想上ですが光電管による非常停止も再現しています。

光電管にマウスを持っていくと非常停止します。その後、電源を投入し、原位置にシリンダーを戻さないと再起動できません。

解説
  1. 主電源ONで電動機が廻りポンプが始動し、自動運転ボタンを押すと自動運転を開始します。
  2. 非常停止ボタンを押すか光電管に触れると全ての電源が落ちます。
  3. この時メインシリンダーは緊急停止。クランプシリンダーはクランプされていた場合はアキュームレータで圧力を保持し、製品の落下や損傷を防ぎます。
  4. 非常停止した場合はアクチュエータが原位置を外れているため原位置に戻さないかぎり再度自動運転できません。

上図の補足ですが、自動運転中は原位置復帰ボタンは無効です。非常停止後は全ての電源が落ちます。(一部ランプはついています)

非常停止後は原位置に復帰させないと自動運転ができません。これは自動運転がある実際の設備も同様です。仮想的な機械ではありますが現実と同じく安全な回路を設計する場合は必要になります。

最後に

油圧シリンダー

最後になりますが本来はもっと多くの回路や機器がありますが、一般的に利用されている機器は今までの回路の応用によって作られています。 安全でかつ効率の高い設計を目指しましょう。さらに込み入った回路も作りたいのですが、バグも膨大になりますのでこの辺で一区切り付きたいと思います。

また、一部の回路では特定のタイミングでボタンを押すと実際にはありえない挙動を示す場合がありますがご容赦願います。



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